広島市立大学での「ぎゅっとe」
 広島市立大学では、平成14年(2002年)より、正規の英語授業に「ぎゅっとe」を利用しています。「ぎゅっとe」を利用しているのは、「CALL英語集中T・U・V・W」という科目で、TとUは全学部(国際学部、情報科学部、芸術学部)の1年生の必修科目、VとWは国際学部と情報科学部の2年生の必修科目、芸術学部2年生の選択科目です。本学の全学共通教育における英語単位の半分以上がこの「ぎゅっとe」でカバーされていることになります。広島市立大学における「ぎゅっとe」利用授業の特徴は、主に以下の3つの点にあります。

完全自習による利用
 一つ目の特徴は、時間割の中で授業時間が定められていない、完全自習型の授業である点です。教員による対面式の一斉授業はなく、受講者は、授業の空きゴマ、昼休憩、放課後を利用して、各自の都合のよい時間に自分のペースで学習を行います。学習は、語学センターや情報処理センターのパソコンで行いますが、最近は自宅にネット環境が整っている場合も多く、もっぱら自宅で学習するという学生が多数を占めています。現在、「ぎゅっとe」は全国の10以上の大学において正規の英語授業で利用されていますが、本学のように完全自習型で利用している大学はあまり多くありません。

1週間ごとの学習締切で「駈け込み消化」を防止
 二つ目の特徴は、学習期間の1週間ごとに最低限学習しなければならない教材量と消化期限を定め、それを順守しなかった受講者は、翌週からの学習継続ができないシステムになっている点です。完全自習型の授業ですので、放っておくと、学習期間が終わる頃になるまで学習に取り掛からず、学習期間終了直前になって慌てて学習するという「駈け込み消化」が起こりがちです。本来8〜10週間かけてやるべき学習をわずか数日で終わらせるような学習は、自ずといい加減なものとなり、効果が上がるとはとても思えません。1週間に最低限学習すべき教材量を定めることで、学習のペース配分を示してやり、1週間ごとの学習締切を設けることにより、学習期間終了直前の「駈け込み消化」を防止しようというわけです。

TOEICテストによる学習効果の測定
 三つ目は、学習の前後にTOEIC テストの受験を義務付けている点です。学習前にTOEICを受験することで、受講者は学習前の時点での自分の英語力を客観的に把握し、学習の目標を立てやすくなります。これは「ぎゅっとe」での学習に対する動機付けの維持にも役立つと思われます。受講後のTOEICスコアは、受講者に学習効果を実感させるとともに、自分の学習への取組みがどのような結果として現れ、今後どのように学習していくべきかを考える一助となることを期待しています。TOEICスコアの伸び(厳密には、伸び余地のうち実際にどれだけ伸びたのかを示す「伸び率」)は、この科目の成績評価にも利用されています。また、TOEICで受講者全体の学習効果を測定し、そのデータを蓄積していくことは、学習効果を上げるのに有効な教材レベルや教材量、ラーニングマネジメントのあり方を検討する上で極めて有益です。



広島市立大学  渡辺 智恵